「特定技能」で外国人を受け入れする場合には登録支援機関との契約は必須?その根拠は
特定技能では登録支援機関との契約が必須なんですか?
オフィシャルな資料に明確な記載がなく思い違いをされている方が多いのでメモとして残しておきます。
「特定技能」で外国人を受け入れする場合には、登録支援機関との契約は必須ではありません!
その根拠について、まずは大元となる『出入国管理及び難民認定法』から見ていきましょう!
(特定技能所属機関による一号特定技能外国人支援等)
第十九条の二十二 特定技能所属機関は、適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、一号特定技能外国人支援を行わなければならない。
2 特定技能所属機関は、契約により他の者に一号特定技能外国人支援の全部又は一部の実施を委託することができる。
(登録支援機関の登録)
第十九条の二十三 契約により委託を受けて適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(以下「支援業務」という。)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができる。
2前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
3第一項の登録(前項の登録の更新を含む。以下この款において同じ。)を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
特定技能所属機関は(中略)外国人支援を行わなければならない。
「特定技能所属機関」とは特定技能の在留資格を有する外国人を雇用する企業のことです。
つまり、企業は自ら特定技能外国人の支援を行うことが原則であり、必要に応じて登録支援機関に支援の全部又は一部を委託することができます。
特定技能についてのQ&Aからの抜粋
少し分かりやすく書いてあるものとして、『特定技能についてのQ&A』からの抜粋を紹介いたします。
Q71 受入れ機関が実施しなければならない支援はどのようなものですか。
【A】受入れ機関は,入管法に基づき作成され,法務省令に定める基準に適合する支援計画に従い,1号特定技能外国人に対し支援を実施しなければなりません(ただし, 登録支援機関に支援の全部の実施を委託することができます)。具体的には,外国人と日本人との交流の促進に関する支援,外国人の責めに帰すべき事由によらない契約解除時の転職支援のほか,特定技能雇用契約の内容に関する情報の提供,外国人が出入国しようとする空海港への送迎,適切な住居の確保に係る支援等の法務省令に規定される支援については,義務的に実施しなければなりません。
法務省『特定技能についてのQ&A』(http://www.moj.go.jp/content/001289367.pdf)
とありますように、特定技能外国人への支援は本来は受入れ機関(=受入れ企業、実際に働く先)が行うべきものであり、受入れ機関が支援業務を行うことができない場合は登録支援機関に委託することができるという性質のものです。
ちなみに「特定技能所属機関」と「受入れ機関」は双方とも『特定技能外国人を雇用する企業』のことを指します。どうして用語がふたつあるのか、使い分けについては不明です。
特定技能の申請様式
また、もうひとつの資料として、法務省が出している特定技能の申請様式の10ページ目の「5登録支援機関」の欄には注意書きとして
(申請人が「特定技能1号」での入国を希望する場合であって,契約により登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合に記入)
http://www.moj.go.jp/content/001300621.pdf
という記載があり、反対に解釈すれば「委託しない場合があり、その場合には記入は不要」と読み取ることができます。
在留資格認定証明書交付申請書・記載例『特定技能』以上のことから、特定技能外国人を受け入れする場合には、登録支援機関との契約は必須ではないことがおわかりいただけたかと思います。
ただ、自社ですべての支援業務を行うには限界がありますので、支援費・支援内容を比較検討して、適切に登録支援機関を活用し、自社の経営と外国人従業員への教育により時間を割いていただくのがよろしいのではないかと考えます。