経営力向上計画とは。認定を受けるメリットについて解説します

“経営力向上計画”という認定制度をご存じでしょうか。経営力向上計画は『中小企業経営強化法』に基づいて、国が人材育成・コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資などについての事業計画の認定をするものです。認定をされた企業は、税制優遇や金融支援(資金繰り対策)、補助金の優先採択、事業承継時の許認可承継といった多くのメリットを受けることができます。

メリットは大きく分けて4つ

  • 税制措置:法人税について、即時償却 又は 10%(or 7%)の税額控除の選択適用
  • 金融支援:政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金)による低利融資
  • 事業承継支援:登録免許税・不動産取得税の軽減、許認可承継
  • 補助金の優先採択

(固定資産税の減免措置は平成31年4月より経営力向上計画には適用されず、先端設備等導入計画に一本化されました。)

メリット その1 「即時償却 又は 10%の税額控除」

中小企業者が、認定を受けた経営力向上計画に基づいて設備投資をした場合、即時償却又は取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の法人税税額控除を選択して適用することができます。

ものすごく単純化した例で言ってしまうと、5,000万円の設備投資をした会社は①5,000万円全額を即時償却するかもしくは②500万円の税額控除が受けられるかのどちらかが使えるということです。(正確には5,000万円全額が対象とはならなかったり、税額控除で控除し切れないなどの問題はありますが)

なお、本制度における中小企業者には個人事業主や協同組合も含まれます。

また、制度の対象となる設備には一定の要件があり、設備の種類ごとに最低価額が定められていますのでご注意ください。

中小企業庁HPより

ちなみに、上の表のうちA類型(生産性向上設備)での経営力向上計画認定が受けられるかどうかは”工業会証明書”が発行できるかどうかが非常に重要になってきます。設備投資の予定があって税制措置の適用を受けたいという企業の方はまずメーカーか販売店に問い合わせをしてみることをお勧めします。

メリット その2 「政府系金融機関による低利融資」

経営力向上計画が認定された事業者は、政策金融機関の低利融資民間金融機関の融資に対する通常とは別枠での信用保証債務保証等の資金調達に関する支援などを受けることができます。

低利融資を受けたい場合は事前に金融機関にご相談ください。

メリット その3 「事業承継支援」

事業承継に伴って、土地・建物などの不動産を取得する場合には、登録免許税・不動産取得税の軽減措置を利用することができます。

中小企業庁HPより

許認可承継の特例

また、事業承継等を行うことを経営力向上計画の認定申請書に記載した会社は、被承継会社(合併等で消滅する会社)のもつ許認可をそのまま引き継ぐことができます

2019年11月現在では以下の許認可が承継特例の対象となっていますが、企業の後継者不足が叫ばれる日本において事業承継は政府にとっても喫緊の課題であるため、今後対象となる許認可は増えていくことが予想されます。


旅館業/建設業/火薬類製造業・火薬類販売業/ 一般旅客自動車運送事業/一般貨物自動車運送事業/ 一般ガス導管事業

メリット その4 「補助金の優先採択」

経済産業省・中小企業庁所管の多くの補助金において「経営力向上計画の認定を受けていること」が審査の加点事項となっています。加点される代表的な補助金は以下のとおりです。

  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業承継補助金
  • エネルギー使用合理化補助金(事業場単位)

裏話をしてしまうと、ものづくり補助金においては採択されている事業者はほぼすべての加点項目をクリアしているといわれています。つまり、ものづくり補助金の採択を受けたいのであれば、最低でも経営力向上計画の認定を受けておく必要はありそうです

まとめ

経営力向上計画の認定を受けることのメリットについて解説してきましたがいかがでしたか?

実はこんなにメリットがあるのに経営力向上計画の申請書は通常3枚程度でできあがります。

メリットを見てピン!ときた方は是非ご検討を。