【行政書士が徹底解説 #004】書面の契約書でなくとも法的に有効なのか
さて、ここまで電子契約の概要やメリットについて一緒に見てきました。
とはいえ、これまで長きに渡って紙の契約書に慣れ親しんできた方の中には「電子契約は法的にきちんと有効になるのか」と不安を抱く方もいるかもしれません。
そこで今回は、電子契約の法的有用性についてお伝えします。
電子署名法で有用性が認められている
電子契約の有用性については、「電子署名法」にきちんと明記されています。
電子署名法とは電子文書に記される電子署名の法的有用性と、その要件が認められるための条件を規定した法律のこと。
電子署名法自体は2001年4月1日に施行されたもので、いまとなってはいくらか昔の法律ではあるものの、電子契約の導入が進む昨今においては今一度きちんと理解しておきたい法律の一つともいえますね。
同法3条において
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
と記されており、「電子文書に電子署名を記すこと」は「紙の契約書に押印または署名する」ことと同等の法的証拠力を有すると解釈できます。
法律の施行年数に比べ普及が進まないわけ
電子署名法の施行が2001年4月なのに対し、なぜ今まで電子署名があまり取り上げられてこなかったのか疑問を抱いた方もいますよね。
日本で電子契約の導入が進まない理由として、「押印文化」が根強く残っているからだと言われています。
元来日本では、契約といえば契約書面を読んだあと署名・押印をするのが至って普通の流れでした。
そこに「押印の要らない契約書」つまり電子契約書がいきなり登場したところで、すんなり受け入れろというほうが難しい話だったのかもしれません。
また、電子契約の導入に際し、これまでは利用者が電子認証(個人なら公的個人認証、法人なら商業登記に基づく電子認証、その他民間事業者の電子認証サービス)を独自に取得する必要がありました。
そのため、契約当事者の双方が電子認証を備えるというハードルが高かったことも普及が進まなかった背景にあるでしょう。
しかしここ最近のシステムでは契約当事者の双方が電子認証を備える必要がないものも増えており、大手IT企業やベンチャー企業が積極的に電子契約を導入し始めています。
ちなみに、2019年の調査によると電子契約を利用している企業は44.2%(一部の取引先との利用を含む)にのぼっているそうです!
※ 一般財団法人日本情報経済社会推進協会「企業IT利活用動向調査2019」より
この機会に是非、電子契約の導入について前向きに検討してみてはいかがでしょうか。